以前のブログでもご紹介しました「令和7年度福井市木造住宅耐震診断及び改修工事補助」ですが、早速、補助事業の交付決定が出てまいりました。
弊社で前年度よりご相談をお請けしていた案件について、4月1日に書類審査を受けるために準備していたものですが、8日付で交付決定しました。

交付決定の番号が「3」ですが、すでに数物件申請されているようですので、改修工事に関する駆け込みが発生することは予測されます。弊社だけでも年度内の改修ご相談がすでに7軒ほど実施に向けたご相談をいただいておりますので、福井市全体とすると相当数の対応希望の案件が動いていると思われます。
さて、2025年4月からの改正基準法運用開始を受け、この耐震改修工事補助も手続き上、ワンクッション判断が増えるところがあります。本年度からの「福井市木造住宅耐震改修促進事業補助金交付申請書」はこんな感じです。

申請書の中ほどに、「建築基準法第6条1項の大規模の修繕若しくは大規模の模様替に該当する」という選択肢が増えています。

当然、これに該当する場合には、事前に「確認申請」が必要となりますし、さらに、「完了検査」も必要になります。補助金受領の条件としては、この2点をクリアする必要があります。ですが、昭和56年以前の建物で確認申請されており、かつ、検査済証が発行されている住宅などは、公庫や住宅供給公社などの家以外ほとんどありません。
したがって、補強プランを作成する際には、この「大規模の修繕」、「大規模の模様替」に該当しないような計画立案が必要になる場合が多くなるというわけです。国交省からは、柱に金物を取り付けること「だけ」であれば、「大規模の修繕」や「大規模の模様替」に該当しないという通達はありますが、物理的に壁を増やしたり、筋交いを追加したり、合板などで補強するといった、「壁そのものの改修」についてはその判断がわかれるところになります。まぁ、過半ですので、過半にならなければよいという考え方が第一歩かとは思いますが、補助金申請時点でひっかかる可能性はないわけではありません。
補助金は税金を使うわけですので、当然、違反建築物への補助はありえないわけですが、単に法改正前の基準には準拠している「既存不適格建築物」である確率も相当低いので、確認申請が必要になるような改修となる場合には、補助金受領を狙うことはできません。
違反の具体例でおそらく一番多いのは「建ぺい率違反」ではないか?と推測しています。例えば後から車庫や倉庫を付属建物として増築したなどの場合には、建ぺい率違反になるケースが多いです。カーポートも、その設置形態によっては「開放性空間」とはみなせないことがありますので、そうなれば建築面積に算入されますから建ぺい率違反の可能性は高くなります。
補強プラン作成では、これまで以上に法的な部分でのやり取りが必要になりますので、ご注意いただければと思います。