住宅の定義

建築を行う場合には建築基準法の遵守が必ず必要ですが、その法律に則った審査というのが「確認申請」という行為になります。よく「確認が通らない」という言葉を聞くかもしれませんが、それは計画している建築行為に対して、法律上の問題をすべてクリアできていないということになるわけで、どこか無理があるっていう場合がほとんどです。あと、よく勘違いされる方もおられるのですが、「確認申請」は「建築許可」ではありません。業者の中にも建築確認での「済証」が下りないことを「許可がおりない」という者もいますが、全く法律を理解していないことを露呈していますので信用しないほうがいいです。ちなみに、「建築許可」というのは、「建ててはいけないところに建築したり、建ててはいけない用途を建築したり、あるいはそれらの規模が規制よりも大きくなるとか、法的な要件を越えた場合に、協議して許可を出す」というものになります。

さて、今日のブログテーマは「住宅の定義」なのですが、そもそも住宅とは?という言葉の定義は「建築基準法」には記載がありません。また、住宅だけではなくその他の用途の建物についても、明確に言葉の定義を定めていません。例えば「学校」とは○○があるものであるという定義などはないということです。これらの建物用途というのは、出てきた建築確認申請に対して客観的に見た用途として審査する側が判断するわけです。当然、申請を出す側が「これは○○という用途の建物だ」という主張のもとに申請するわけで、大半は「はいそうですね」となりますが、稀に「協議」という名のもとの「説明」を求められたりしますw

話しを「住宅」に戻しますが、住宅は現行法ではかなりの緩和規定で緩い審査です。来年から少々その緩和レベルが下がってきて審査される項目が増えますが、それでも、物販店舗や病院といった不特定多数が集まるような建物とは審査レベルは違います。特に防火避難規定の面では、かなり緩いです。したがって、ちょっと悪いことを考える人は、この緩い「住宅」として建築して、後から、物販店舗や飲食店にしちゃうような人もいます。

でも、その設計を「住宅」とみなすためには実はある要素が必要になります。これを、

住宅要件の3点セット

と呼んでします。その3点セットとは、

 ・トイレ
 ・流し台(台所)
 ・浴室

の3つの機能がある部屋を備えているか?ということなのです。これは「建築基準法」に条文として記載はされていません。あくまでも、審査側の運用事例として存在しているものなのですが、以下のような図書が発行されており、各審査機関(官民含め)は必ず携帯している資料です。

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例

発行:建築行政情報センター

ずいぶんとお堅いイメージのある図書ではありますが、確認申請でちょっと揉めたりするときは、もはや定番の登場となるくらいのマニュアルなわけですが、公的な資料として「住宅の定義」の記載文言がはっきりとかかれています。それは、用途規制・住宅という項目で「SOHO(ソーホー、スモールオフィスホームオフィス)のところで、「住宅要件の3点セット」についての記載があります。

これらはあくまでも、参考マニュアルですので、各自治体の審査窓口や、民間審査機関では、もっと他の基準や見方をしているところもありますが、原則はこの3点セットです。言い換えますと、この3つの水廻りが存在していれば「住宅」として押し通すことは可能といえば可能というわけです。

でも、ちょっと待ってほしいのですが、「風呂」はいるんですかね?という疑問が出てきますよね?w だってお風呂ない家って普通にあると思いますし、そのために銭湯なんかがあるわけです。僕らが子供のころって家に風呂があるっていうのが「お金持ち」というイメージがあったくらいです。となりますと、トイレと流し台(台所)があれば住宅要件を満たすわけですので、住宅としたいのであればこのあたりを考慮することになります。

また、ちょっと確認申請などの手続きとは違いますが、補助金などで新築建物に対して受けるような補助金の場合、増築や改築の場合でも、3点セットを含めた増改築の場合は「新築」としての扱いを行うという場合もあるようです。

いずれにしても、住宅とは?という部分で一定の判断基準は「水廻り3点セット」にあるというわけです。

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