先日のブログで「増改築等工事証明書」をテーマにしましたが、確定申告の時期を迎え住宅ローン控除に対応する書類関係の準備依頼などが多くなってくる時期です。弊社では確定申告に使う使わないは別として、リフォーム工事に関しては「増改築等工事証明書」を発行することにしています。
ですが、住宅ローン控除を使う場合には、控除額増加や控除条件をクリアするために「省エネ基準」というものがキーワードになってきます。特に、新築については、令和6年以降の新築住宅について「省エネ基準適合」は必須条件になっています。少々、今更な話題かもしれませんがwww

この資料にありますとおり、令和6年以降の新築住宅に対する控除条件は最低でも「省エネ基準適合住宅(性能等級4)」が必要になります(※一部、買取再販などは従来のその他の住宅というモードがのこります)。つまり、事実上、省エネ基準の適合が証明されないものは住宅ローン控除を受けることができないというものです。この点は、令和5年6月の段階で、すでに、税制改革の情報として周知されています。


増改築リフォーム工事の場合にも、借入額が2,000万円を超すようなフルリフォームやリノベーションの場合などは、その控除枠を3,000万円までに広げるための要件としては、最低でも「省エネ基準適合住宅(性能等級4)」が必要になります。
このため、新築においても増改築リフォームにおいても省エネ基準に適合していることを証明する必要がありますが、この話しを聞くと、設計内容や建設内容をしっかり評価できる評価機関等の証明書を得る必要があると考えるかもしれませんが、
・長期優良住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・低炭素住宅
等の場合には、評価証明書の発行を受ける必要がありますが、単に省エネ基準に適合していることを証明するためには、「増改築等工事証明書」と同様に、建築士が「住宅省エネルギー性能証明書」を発行することで対応できます。
※住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置のための「質の高い住宅」の要件では、この「住宅省エネルギー性能証明書」では証明できません。指定評価機関が発行する「住宅性能証明書」が必要になります。
「住宅省エネルギー性能証明書」とは以下のような書式です。


「増改築等工事証明書」同様、税制優遇を受けるような重要書類を発行できるのが「建築士」であるわけですが、この住宅省エネルギー性能を証明するには、省エネルギー性能を立証できるだけの計算や評価が建築士ができなければなりません。耐震性を担保するために構造躯体に対する計算などを行う必要があるのと同レベルで、省エネ性能の証明書の発行ができるだけの設計ノウハウもなければ、少なくとも住宅にまつわる税制優遇をお客様に提供していくことができない時代になったというわけです。
もちろん、こうした評価を認定評価機関に任せることもできます。ですが、適合しない場合、それを適合させるための設計変更については、お客様から設計依頼を受けた設計士が行う必要があります。評価機関には評価証明に対して料金を払ってお願いしますが、設計変更まで依頼を受け対応してくれるような評価機関がないわけではありませんが、当然、その分の対価も必要になります。
言い換えれば、お客様が設計仕様により高い性能を求める場合には、設計士にその性能を担保する設計を行うノウハウがなければ、どんどん設計コストが膨れ上がっていくというわけです(設計を外注する先が増えるわけですので)。住宅においての設計品質を上げるという隠れた施策だと考えています。弊社では、構造だけでなく、省エネ性能の設計も両面で自社対応できます。