地図情報活用で便利に

DX(デジタルトランスフォーメーション)って言葉が大流行りですけど、頭にDXをつければ便利なサービスだっていう誤解しちゃうくらい、もはやなんでもアリなイマドキですw 政府も「デジタル庁」なんてのを編成して、省庁横軸でデジタル化ってところに取り組んでいますけど、一般的な認識としてはマイナンバーカードくらいかもしれません。企業においては、GビズIDで行政手続きが共通アカウントでログインできて、申請などの書類提出がすべてオンラインでできるとか、意外と目立たないところで着実に利便性はあがってるかなって感じですw

さて、申請とかは別として、日々の業務でのDXの恩恵ってところで、もう、最近テッパンで利用しているものとして「地図情報」があります。設計などの業務上で、「地図情報」が必要だというのはかなりの頻度であるわけですし、先ほどのオンライン申請における申請内容としての添付資料作成や、そもそも、必須情報としての「住所」、「地籍」などのモロモロの位置情報ってのは必要なわけです。ちょっと紹介しますw

◎都市計画区域指定状況の確認
・福井市都市計画情報WEBサービス

福井市における「都市計画関連情報」の検索ができる地図システムです。建物の設計を行う場合に「建築基準法」で定められた「用途地域」における制限や、指定建ぺい率、指定容積率などが規制値として必要になりますが、該当する敷地がどのような都市計画上の指定を受けているか?というのをWEB上で調べることができます。画像は、弊社の事務所がある場所で都市計画情報を見たところです。「第一種住居地域」で建ぺい率60%、容積率200%というのがわかります。すぐ近く、道路、一筋向こうには「準防火地域」の指定エリアが見えます。背面に薄っすらと建物が見えるようになってますが、規制区域の境に当たる場合には一応、都市計画課への問い合わせ必要だったりします。ちなみに、近所の準防火地域は、道路西面から11mだったか13mだったかという問い合わせ結果だった記憶がありますw

WEBでこのような情報が公開される前は、めちゃくちゃ縮尺がデカい福井市地図に都市計画区域が書き入れらた紙の地図があって、まずはそれで確認って感じだったんですが、このWEBサービスを市が始めてくれてからすごく楽になりました。だいぶ前のことですがwww

◎道路の確認(市道)
・ふくいマップ(公開型GIS)

デジタル庁が展開している「デジタル地方創生サービスカタログ(ALANDIS)」による道路台帳の閲覧システムです。福井市監理課によるもので、市道だけの情報公開ですが、敷地の前面道路情報を取得するには「すさまじく」便利ですw 画像は弊社事務所前の接道道路ですが「南部1-200号線」で道路幅員は、7.07~7.28であることが道路台帳上の情報として確認できます。ちなみに、福井市建築指導課に確認申請を出す場合、添付図面の道路寸法がこの台帳と差がある場合には「指摘」がはいります。監理課の情報は「絶対」ですし、警察よりも「おとろしい」部署ですので、そこの情報と差異があることは、もはや神の領域を犯したのと同じレベルなのですwww

◎地籍図の確認(地名地番、公図上の敷地形状の確認)
・MAPPLE法務局地図ビューア

確認申請では、建築場所の「住所表示」ではなく「地名地番」が必要になります。住居表示は主に玄関の位置で割りつけられる「街区」と言われる区域に割り付けられた番号のことで、例えば、

福井市大手3丁目10番1号

だと、大手3丁目の10番街区の1番目って感じなわけです。

住居表示はあくまでも「建物」の存在を元に決定されるものですが、「地名地番」というのは、その土地が持つ「権利の範囲」を示したもので、建物を元に決定されているものではありません。あくまでも、「土地」を元にした表示番号なわけです。住居表示=地名地番となるのは、新しい分譲地などはあるんですが、古くからの街並みですと、必ずしもイコールにはなりません。そして、申請等で、土地を中心に扱う手続きであれば「地名地番」を、建物を中心に扱う手続きや個人(法人)を中心に扱う手続きの場合には「住居表示」を使うのが一般的になります。ですが、設計関係では、法律に適合しているかどうか?を審査する際に、都市計画上の規制も審査することになりますし、敷地面積や道路との位置関係など、土地を中心に考えることが大半ですので、「地名地番」が絶対になります。

この地名地番というのは、地図にのっていないことも多く、例えば、住宅地図なんかでで「地籍表示併記」とない限り住居表示しか記載がありません。また、地籍表示併記となっていても、法務局に備えられている「公図」上の敷地形状の記載などがないので、この情報を掴む場合には法務局に出向いて、料金を払って公図を取得したり、地積測量図を取ったりするしかありません。ちなみに、地積測量図がある地籍って分譲地など以外ではかなりある率が低いです。確認したいだけなのに、毎回、法務局に出向くのはメンドクサイ上に、お金もかかるので、ちょっと見れないかなーという思いはあったわけですが、それが可能になっているのが、この「MAPPLE法務局地図ビューア」です。では、ちょっと弊社事務所の場所を見てみましょうw

弊社の建物があるのは、

福井市花堂北2丁目1501-1

となっています。でも、これ、道路沿いではないのです。道路沿いには4つの土地があって、1507、1506、1511-2、1510-2なのですが、弊社の建物を建てる場合の確認申請では、建設地は、

花堂北2丁目1501-1、1507、1506、1511-2、1510-2

という申請になります。このとき、申請上の敷地形状から1507、1506を除いて申請することも想定できます。道路接道は2m以上ですので、1510-2と1511-2で2mの接道が取れれば、申請で1507と1506を入れないこともできます。また、建築基準法上は、地籍に対応する形での建築計画を求めていないので、例えば、1511-2と1510-2を2mだけ接道させて、仮の敷地分割線を引いて敷地とする「敷地分割」も認められます。例えば、でっかい土地にすでに母屋が建っていて、その横にお子さん世帯の建物を建てる場合などでは、敷地分割するということをやります。

さて、このWEBの画面の右上に18201-2100-1229.xmlというファイル名が記載されています。「GeoJSON」というファイルで、地図情報なのです。このファイルを表示加工することで様々なデータとリンクさせることができます。

この土地情報、特に敷地形状のデータ化はすごく重要で、特に道路などのインフラ整備では、道路と敷地との境を確定するために、この種の地図がないところでは一々を測量して確定させねばなりません。戦後すぐの空襲で焼け野原になった市街地で、どさくさでここまでが自分の土地という主張をしたり、また、田んぼや畑などで敷地の境がはっきりしないところなど、かなりたくさんあるわけですが、今生活している人が、建物を建てたり、売買したりする際に、こうした土地の形状が確定していないことで難儀することがあります。

従って、この種の「地図情報」をしっかり整備していくということは、未来へのトラブル回避のための「投資」であり、今の子供たちが大人になって困らない仕組みづくりなのですから、もっと進めていくべきなのです。

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