太陽光パネルの撤去処分

太陽光発電システムが住宅用として販売されたのは1994年で、おそらく住宅用としては、シャープが初めてだったと思います。サンビスタ(SUNVISTA)として発売された太陽光発電システムは、設置費用の補助金と、発電した電気の買い取り価格は、1994年くらいのときには、住宅では約24円/kWhと低かったのですが、2009年に余剰電力買取制度が開始されると、その価格は、48円/kWhにまで高騰し、これが太陽光発電を設置するという理由付けとなり、瞬く間に広がり始めました。

正直なところ、省エネや環境配慮というよりも、投機目的として設備導入するという動機のほうが強かったような印象がありますが、パネルの劣化はもちろん、直流を交流に変える「パワコン」の故障などもあり、余剰電力買取制度の10年間の買取額の固定化が終了してしまった住宅では、現状の買取価格の低下(約16円1kWh程度)により、設備を更新したり、修理して継続利用しようとする「意思」を示される方は、正直、少ないです。

理由は、パネルは劣化進行とともに発電量は目減りしてきますし、パネル毎の接続ケーブルの劣化により、回路設計がまずいことで発電量がかなり低減したり、また、パワコンの取り換えにパワコン自体の結構高価であることなどがあげられます。

今回は太陽光パネルの撤去のご依頼がありましたので、対応してきました。

今回のパネル撤去の理由は、すでに太陽光発電自体が機器の不具合もあって行われていないことと、空き地だった隣地に新築住宅が建ったことで、パネル上部に積もった雪が滑り落ち、隣地に落ちることでのトラブルを避けるためです。

確かに直して運用すれば、それなりにまだ発電はしますので、もったいない気もしますが、修繕の費用と電気代を天秤にかけると何とも言えないわけで、それよりもなによりも、隣地に迷惑をかける可能性があるという懸念のほうが大きいというわけです。

太陽光パネルの撤去は、単にパネルを屋根面から取り外すというだけではありません。余剰電力場合、外線からの戻りなどの関係もあり、確実に外部との連携配線を切断しておく必要があります。また、古いタイプのシステムですと、外部にパワコンなどの設備がありますので、その中で漏電しないようにするなどの処置も必要になります。これらの機器を壁から外すという手もありますが、取りついていた位置にビス孔なども空いてしまうこともあって、よほど問題がない限りは壁面についているものはそのままにする方向で作業しました。

また、瓦屋根の場合、支持瓦というものでパネルを置く部分の瓦をとりかえていますので、これを再度、元の瓦に戻す作業も必要になります。たしかに、このままでもよいという方がいないわけではないですが、突起部の状況が妙な雪止め効果をだしてしまったり、また金具の部分の劣化で雨漏りの原因になる可能性も考えると取り換えはマストかと思われます。

ただ、残念ながらこれだけではおわりません。太陽光パネルを設置する際には、それを撤去することはまず考えていませんので、瓦の上で設置工事をした際の影響があっても、パネルの下に隠れるので大した手当も行わないことが多いです。設置時に踏んで瓦を割る、雪止め形状を破損させるというのは、お客様がパネルの下に隠れて見えないことをいいことにそのままにしている事例が多いのです。案の定、今回もひどかったです。

また、問題なのは、降ろしたパネルの処分です。産業廃棄物となる太陽光パネルは、おおまかにいって、アルミ製のフレーム、ガラス、配線、それからシリコン部分にわかれますが、これらを完全に分別して処分しなければならず、かなり手間がかかります。家電の処分には家電リサイクル法によって、料金を払って専門の業者に引き取らせますが、太陽光パネルの場合そうした「専門業者」が非常に少ないのが現状です。そんな中、福井においては、鯖江市に1社、太陽光パネルの処分業者があります。ご紹介しておきます。


◎株式会社アメニティウエルネス

今回、処分をお願いしました。

重量を計量されましたので、重量で価格が決まるのではと推測します。

廃棄の主な手順は、アルミフレームを外し、パネル面のガラスに対して、サンドブラストによる粉砕を行い、その下から出てくるシリコンのシートを取り出すという流れになるようですが、このシリコンのシートがかなりの金額で流通するようで、そこがビジネスの糧となるようです。

いずれにしても、太陽光パネルの撤去処分の需要は今後ますます増大することになります。再生可能エネルギーの利用を促進するにあたっては、このような劣化、破損したような設備の廃棄処分も同時に考えなければいけませんし、その廃棄処分の際でるゴミが環境汚染するようでは本末転倒ということになります。

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