完了検査を受けていない1/2超の増築案件

以前のブログでもテーマにしました増築リフォームの案件ですが、本日、正式に「建築相談」という形で法適合審査に関する手続き協議に入りました。

昭和57年に建築されている木造住宅の「大半」を壊し、そのスペースに新築して残存部分とエキスパンションジョイント(以下、EXP.J)により接続するというものなのですが、こんな感じで計画しています。

「1/2超」というのが今回のミッションでは重要なところで、これは増改築における緩和規定を一切使えませんので、既存部は確実に法適合できていることが求められます。通常は、検査済証があるわけで、おおよその仕様部分について規定は審査及び検査済であることから、少なくとも当時の法律に対しては「法適合である」という判断ができますが、1/2を超えることで、現行法に準拠していることを示さなければなりません。

例えば、昭和57年の確認申請時点で、基礎を「RC」として設計され、完了検査を受け済証を受けていれば、この建物基礎はRC造であるということが認められるというわけです。検査を受けてなければ、コンクリート製であることまでしか認知されないってわけですw

したがって、現行法にのっとっているか?という審査の場合には、基礎部分の構造規定としての住宅レベルで求められる仕様規定でもある「RC造」というものをクリアしなければなりません。これには、非破壊検査による実地計測などが必要になります。

また、最大の難所は「金物設置」にあります。昭和57年の基準では柱や筋交いに金物を打つなどということは、ほぼ100%ないです。したがって、現行法で求められる金物設置に準拠するためには既存部に金物を設置する作業が必要です。ところが、ホールダウン金物などの基礎から引っ張るような金物をあと施工ではつかえません。また、仕様規定を使う以上、1階土台と柱の接合で、10kN超のプレートはつかえません。そうなると、この計画は法適合をほぼ完全に受けることができないことになります。

ところが、平成18年に、残存部分のお部屋の内装を弊社でリフォーム工事を行った際、ある程度の金物設置を行っており、かつ、その際の記録写真がのこっているために、ほぼ構造関係の規定について再確認が奇跡的にできたわけです。

そこで、図面、調査写真などを添付した上で、「建築相談票」をつくって提出いたしました。

これはある意味レアケースであって、どんな場合でも対応できるというわけではありませんが、弊社の施工記録保持がすべてデジタル化できていたということがもたらした奇跡だと感じています。今後、法対応について進展があれば、またご報告いたします~

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