もう数年前になるでしょうか。「構造設計・部材断面事例集」が欲しいと思い、ずっと探していました。古い本ですので(2007年)、在庫書籍などはあるわけないだろうと思って、古本としてネットで探していました。
古本を探すのに、古書専門の通販サイトもいいのですが、意外とオークションなんかで探すと出てきたりもしますw でも、この本は、ホントに希少なのか、数年前にメルカリで見かけて以来、どこにも出てませんでした。中古本の流通サイトでの探求書として登録しましたが、数年たっても反応がありません。国会図書館にはあるようですが、全ページコピーすると金額もたいへんなことになるので、じっくり待つことにしてました。そして先日、メルカリからこんなメッセージがw

新着です!数年待ってやっと出てきたというお知らせです。検索条件の保存で新着があると勝手に案内が飛んでくるというすごく便利なシステムですが、初めて恩恵をうけましたw メルカリでは、販売もあるんですが、オークション形式もあります。この新着はオークションだったのですが、もう即、入札いたしましたw たぶん、こんな本欲しがる人ってそれほどいないだろうと思うのでたぶん大丈夫だろうと思いましたが、それでも競争になるなら、値がつり上がっても買うつもりでしたがwww というわけで、無事落札しましたw 出品者様ありがとうございました!


官報にあった表紙とちょっとデザインが違うので「あれ?」って思いましたが、たぶん第1版だからではとw
内容としては、RC造、S造ですが、設計事例を元に、どのような構造材の決定を行ったか?という計算書ベースの資料がまとめられています。



この図書の狙いとしては、特殊な平面プランでなければ、おおよそ柱の配置、梁の配置というのは一般化したものが考えられ、柱や梁の部材断面の力学的評価も一般的にどのレベルになるか?ということをある程度想定できる、というところにあります。

平面プランを考える上で、構造的な側面に対してある程度の「あたり」をつけることは重要で、梁により計画したい天井高さがとれないなどの、極々初歩的なプラン上の問題を避けることは、設計条件として似通っていれば、構造材の断面形状が大きく変化することはないわけで、こういった参考資料が手元にあれば、平面プランの初期段階である程度、想定した柱配置などができるというわけです。
また、この本には、数多くの事例が掲載されており、その計算過程も示されていることから、構造設計を学ぶ資料としても十分に活用できます。



図書として、RC、S造物件だけですが、構造設計の流れを掴む、そして、考え方を掴むという意味合いでは、非常に具体的な事例集です。
実は、構造設計において重要なのは、計算そのものではなく、以下の画像にあるように、「設計方針」という部分です。

昨今、木造の一般住宅でも構造計算を行うということが広まっていますが、構造計算を行うことだけが重要視され、設計者がどのように構造に関して検討を行ったか?という「所感」という部分についてはあまり重要視されません。でも、構造計算の結果の審査を行うような場合には、「あなたはどのように考えたのですか?」という部分が最重要で、計算結果などは、単なる結果に過ぎないというわけです。当然です。そもそもの考え方が「違う」となれば、計算結果がどんなに精度が高くても意味がないわけです。そういう部分でも、実際にどのように考えていくのか?というところの参考資料としても貴重な資料となります。