耐震改修で出くわすアルアル#9

アルアルシリーズですw 古い建物、特に住宅の場合には2階は結構独特な組み方をしています。これは、昔の住宅仕様というのは、原則として2階は「納屋」とか「農産物保管」とか「養蚕」などの室内でできる産業の場所だったりしたからです。そうした2階ですので、柱が立つと邪魔になるので、できるだけ柱を減らすわけですが、当然、多雪地域では雪の心配をしなければなりませんから、屋根に載った重量も含めて耐える構造にするわけです。

この時、一般的に用いられた手法が「丸太」による小屋組なのです。こんな感じです。

当時の図面がありましたので、そちらも併せてごらんいただけるとイメージがさらにわくと思います。

外周部には外壁を構成させるために梁が廻されます。当たり前です。ですが、中通りについては2階の間取りに対して意識的に梁をいれているわけではありません。屋根勾配は画像上下方向ですので、「母屋」は画像水平方向に入れられます。この時、母屋を受けるための「束」は、おおむね1間(1820mm)程度のピッチで配置され母屋を受けますので、極端に言えば、

「丸太が1間ピッチではいっていればいい」

というくらいの認識なわけです。イマドキは部屋境に柱を建て、中通にも耐力壁をつくるような計画が行われますが、先ほど書きましたように、昔の家では2階の「作り方」は、作業や収納のための空間でしかないので、2階の上、屋根部の構造は、このような丸太組になっているというわけです。

さて、問題なのは、このような建物の歴史的な状況知らないで調査を行うと、壁を見れば耐力があると認識してしまうことなのです。今回の事例で言えば、小屋裏状況や建築時の設計図書を参考にすると、

耐力壁となりうる壁は赤で囲ったところで、黄色で囲った部分は柱が梁に到達しているか?を確認しなければ壁として認識はできません。また、青で囲った部分は、実際には壁のように見えてもそれは意匠的な壁でしかなく、柱が立っているとしても梁で受けられている柱ではありませんので、耐力壁とはみなせません。このような柱を「なんちゃって柱」と呼んでいますw

耐震診断では、建築技法の歴史的な変遷なども頭にいれて調査に臨むと、確認しなければならないところがみえてくるのです。

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