耐震改修を行う場合、12月までに完了しているのであれば、翌年2月から3月の確定申告で、耐震改修を行ったことによる「所得税の特別控除」を申告すると所得税の還付を受けることができます。実は、行政機関の耐震改修を勧める告知はいろいろと見受けることができるのですが、この税制優遇についての特典についての説明をするところは意外と少ないです。また、改修業者側も積極的にその告知をしていないように感じられます。ちなみ、以下の画像は福井市が耐震改修工事を実施した方向けの資料として、「補助金確定通知書」の発行と共に資料として添付するものです。


今年度の福井市で行われている耐震改修工事に関する補助は、補助率100%で上限150万円です。過去最大の手厚い補助制度となっており、あっという間に予算枠を消化し、補正予算で追加された予算枠もあっという間に消化されてしまいました。来年度も同等で実施される見込みです。さて、税制優遇の件に話しを戻しますが、耐震改修工事における税制優遇は2つあります。
1.所得税の特別控除
耐震改修工事に係る耐震改修工事の「標準的な費用の額」から補助金額を差し引いた額で、250万円を上限として、その額の10%が所得税から控除されます。その額が250万を超す場合には、標準的な費用の額から250万円を差し引いた金額の5%が控除額となります。なお、この所得税の特別控除を受けるためには確定申告が必要になります。
2.固定資産税の減税措置
耐震改修工事に係る費用が50万円以上の場合、翌年の120㎡相当分までの建物の固定資産税の2分の1が減税されます。固定資産税は地方税ですので、こちらは各市町村が窓口となります。
ただし、これらの税制優遇優遇を受けるためには、建築士が発行する「増改築等工事証明書」が必要となります。この書面は建築士事務所登録をしている建築士が発行できる証明書で、資格のない方は発行できません。したがって、耐震改修の施工業者であったとしても、その施工業者が建築士事務所を開設しており、かつ、耐震改修工事の監理を行っていないとこの書類は発行できません。「増改築等工事証明書」については以前のブログでもテーマとしておりますのでご参照ください。
なお、これらの税制優遇措置については、施工業者や設計士が代理人として手続きできません。税理士の方か、お客様自らでお手続きの必要があります。確定申告は所管の税務署で確定申告の時期の前くらいにご相談に行かれることをお勧めします(要予約のようです)。また、固定資産税については、各市町村の資産税課等でご相談ください。
その際、増改築等工事証明書の有無や、認定長期優良住宅に該当していないか?をテンプレのように聞かれますが、特段、認定を受けるような省エネ改修工事などを行っていないのであれば該当しません。また、増改築等工事証明書にて、その部分の記載がない場合には対象工事は行っておりませんので、「行ってません」とお答えいただくと手続きがスムーズです。
※福井市においては、なぜか、テンプレのようにこの認定長期優良住宅じゃないのか?を確認してきます。省エネ改修工事を行ったとしても、認定長期優良などの省エネ性の認定を行うような設計と施工を行っていない場合、省エネ改修してないのですか?という問いに内窓は設置したなど、特に制度をお客様がことさら意識されていない場合、確認のために書類を持ち帰って出直すということが続いております。該当していない工事は証明いたしませんし、証明書に記載がないのですから、わざわざそこを問い正すようなことしないでほしいというのが本音です。