規制を受ける玄関戸

あんまり意識することがないかもですが、建物の規模や間取りによっては「玄関戸」が重要な規制対象になることがあります。住宅としては、2階建てレベルの戸建てでは規制を受けることはありませんが、以下のような建物の場合はバリバリ規制を受けますw

①別表第1(一)項から(四)項に定める特殊建築物
②階数が3以上の建築物
③採光無窓・排煙無窓を有する建築物
④延べ面積が1000㎡を超える建築物

木造とか鉄骨とかRCとかそんなもん関係なく、上記の4つのどれかに当てはまれば、「避難規定の適用」を受けることになります。最近、非住宅なんかでも木造で作るってのが大流行ですが、それはいいとして、普段から住宅なんかで木造を手掛けてて得意だとしているような設計事務所や工務店では、実は、この「避難規定の適用」というものに難儀することが多いのです。審査機関の窓口なんかで口論しているのを聞き耳を立ててると「避難規定」への適応義務を理解していないことから設計がある程度固まってしまってから、もうにt木造とか鉄骨とかRCとかそんなもん関係なく、上記の4つのどれかに当てはまれば、「避難規定の適用」を受けることになります。最近、非住宅なんかでも木造で作るってのが大流行ですが、それはいいとして、普段から住宅なんかで木造を手掛けてて得意だとしているような設計事務所や工務店では、実は、この「避難規定の適用」というものに難儀することが多いのです。審査機関の窓口なんかで口論しているのを聞き耳を立ててると「避難規定」への適応義務を理解していないことから設計がある程度固まってしまってから、もうにっちもさっちもいかないって感じですw

この「避難規定」をしっかり理解する参考書として、必須中の必須は、「建築物の防火避難規定の解説」という図書ですが、法文根拠とは別に審査等での運用レベルでの考え方などを事例を交えての解説がまとめられています。

この「避難規定」で重要なのは、避難経路に関する法規制です。ざっくり言えば、想定時間内に、避難口からもっとも遠い距離からも避難できるように避難経路を確保しろ!というものが規制の原点なんですが、大きな施設などでは、西口、東口、南口、北口とかいろんなところで出口を作ることができますし、あるいは2階とか3階とかから避難階段なんかを設置して直接外に出ることができるとかいろいろやりようがありますが、例えば、戸建てレベルの大きさで小さな施設なんかを作る場合、その施設が先の4つの条件のうち一つに当てはまると、平屋であろうと法的に規制を受けます。

具体的に言いますと、児童福祉施設等とカテゴライズされる、放課後等デイサービスや児童クラブなどは、特殊建築物にあたりますので、避難規定の適用を求められるわけです。

小さな面積の施設ですので、いろんなところに出入り口があるわけではないのですし、児童福祉施設としての運用管理上、利用者の子供が勝手に出ていかないようにするには、出入り口を一つに絞り、管理者の目の届く位置にあることも求められる。こうなりますと、通常は、玄関の出入り口のみが避難経路上の、

「屋外への出口」

となります。実は、わざわざ「屋外への出口」と書いたのは、この出口に法的な規制が盛りだくさんなのですw まず、屋外への出口に対する規制の条文です。

第5章 避難施設等
第2節 廊下、避難階段及び出入口
第125条 屋外への出口
 避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第120条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の2倍以下としなければならない。
2 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない。
3 物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積100m2につき60cmの割合で計算した数値以上としなければならない。
4 前条第3項の規定は、前項の場合に準用する。

まずは、居室から屋外への出口への「歩行距離」の規定があります。次に戸の開く方向の規定、さらに幅の規定とつづきます。こんなのは、まだ基本で、たいがいは普通に設計してもクリアできるレベルです。でも、だまっていてもクリアできるのですが、それをわざわざ法的な解釈のもとに問題がないことを示す必要もあるのですw それがこの条文ですw

第5章 避難施設等
第2節 廊下、避難階段及び出入口
第125条の2 屋外への出口等の施錠装置の構造等
 次の各号に掲げる出口に設ける戸の施錠装置は、当該建築物が法令の規定により人を拘禁する目的に供せられるものである場合を除き、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。
一 屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口
二 避難階段から屋外に通ずる出口
三 前二号に掲げる出口以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの
2 前項に規定するもののほか、同項の施錠装置の構造及び解錠方法の表示の基準は、国土交通大臣が定める。

この第125条の2というのは、屋外への出口等の「施錠装置の構造」に関するものです。法が求めるものは、屋内側から鍵を使わずに解錠でき、解錠方法を表示せよとなってますw それから第2項には、鍵の構造の基準が定められ、それがクリアできているか?というのを示さねばなりませんw 鍵の構造って、そんなもんまで設計内容として詳細を書くんか?っていったら、まぁ普通は書かないです。まして木造の住宅っぽい建物で非住宅として計画する場合、玄関ドアなんか普通に住宅用の玄関ドアをつけるはずですw

そのとき採用する玄関ドアのメーカーさんの鍵の構造がという話しになるわけですが、メーカーさんに言っても迷惑なだけでしょうw そこで、どの構造なのか?というのを模式図示すんですが、

普通の玄関ドアなら、No1の形態になるはずです。当たり前すぎて困惑するかもですが、法規制を受けるということになれば、規制をクリアするためにどのタイプのものを採用しているのか?という話しになるわけです。でも、ちょっと問題も出てきます。屋内側から解錠できるようにってことで、普通はサムターンを廻して解錠しますが、これ、電気錠とかで遠隔でコントロールする場合ってどうなるんでしょうか?w

実は、これも規制をクリアするために必要な仕様を文言として加筆する必要があるのです。


こんな感じです。電気錠の動作仕様を書き、それが法的な規制をクリアしていることを示す必要があります。ここでは、電気錠が管理者のいるカウンターで開閉操作できること示し、その上で、玄関ドアがサムターンを手動で廻すことで解錠できるけど、ドアを開けて閉じても自動施錠しない仕様としているということです。要するに、避難するときにサムターンを廻す、鍵を開ける、ドアを開ける、外に出る、ドアが閉まる、で、鍵がかかってしまうと連続的に人が外に出れないので、結果として玄関に避難者が滞留してしまうわけで、そういう仕様ではありません、と示す必要があるわけです。実際、サッシメーカーさんが用意する電気錠や、鍵メーカーさんが提供する電気錠の場合、これ以外の仕様であることはほとんどないはずです。

小さな面積の小規模な施設だからといって、法律が緩いというわけではないのが、「防火避難規定」の特徴でもあります。そういうところをちゃんと認識して、非住宅施設の設計を最初から行わないと実は痛い目にあいます。それを逃れるために、最初は「事務所」とか「学習塾」などという特殊建築物とはならない建物で申請し、実際に引き渡しが終わってから、児童福祉施設等にするといった「脱法」、「造反」を平気で行う設計者もいないわけではありませんが、その場合、公的認可が必要な施設の場合、消防法上の扱いも含めNGとなり認可を拒否されるケースもあります。

また、空きテナントなどを改修して特殊建築物としての用途に変更する場合も同様な法的な規制をクリアする必要がありますので、注意が必要です。

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