謎の玄関框下

耐震改修を行う時に確認するのが、耐力壁として想定している壁の部分の基礎です。古い住宅の場合ですと、外周部には基礎がありますが、中通りなどには基礎が全くなく、束石などで柱を受けているような状況の建物を多く見受けます。これはこれで「石場建て」のような構造として「基礎がない」評価はできるのですが、それでも原則としては、柱の根本部分がしっかり繋がり、もちろん柱頭部分にも梁がなければ耐力壁としては効果はありません。

古い住宅にありがちなのは、連続した基礎を作らず点で柱を支えるというやり方で建築されている事例が数多くあるのですが、上の画像のように上部、下部とも柱をつないでいるような形態をとっていることはあまりないような印象があります。

というわけで、本日も基礎の状況を確認してきました。そして、謎の納まりを発見しました。

基礎がしっかりと発見されました。さらに根がらみも施工されていて、ずいぶん丁寧なつくりです。また、土間コンクリートも打設されており、防湿されているせいかさほど湿っぽさもありません。これはイイ感じの下部構造だとおもったのですが・・・・

玄関の上框の真下です。玄関部分の基礎はなぜか作られておりません。この部分の反対側は、玄関の室内タイル土間の部分です。要するに、タイル土間を作るのと、框を入れるだけなので柱が立つわけでもなんでもないから、基礎は作らず、タイル土間を作れればよいという発想なわけです。そして「貫」下地にしてモルタル壁を作って、その中に土砂を入れて玄関タイルの土間を作ったという流れです。

イマドキこんな玄関土間の作り方をするほうがメンドクサイので基礎で囲ってしまって砕石などを入れて土間コンクリートを打設して、その上にタイルを張るというやり方をします。もちろん、基礎の立上りはつくりますので、しっかりと土台をアンカーボルトで固定していきますし、框はその土台に取り付く形になりますので、タイル土間が少々濡れてもその湿気が床下に潜ってくることもほぼないです。

まぁ、建築手法というのは時代の流れとともに、強度や効率化を元に変わっていくわけですが、耐震改修を行うということは、過去の建築に対しての対応となりますので、イマドキの常識的なモノを一旦頭から離して考え対応の工夫をしなければいいけません。

まぁ、今回、玄関框の下以外に異常な造りはありませんでしたので、まずは一安心でした。

タイトルとURLをコピーしました