被災建築物応急危険度判定

被災建築物応急危険度判定とは?

大規模な地震によって建物は甚大な被害をうけます。潰れてしまったら、傾いてしまったり、被害は様々ですが、その影響は、所有されている方だけではなく、その周辺地域に対しても倒壊による道路封鎖、がれきの飛散などの影響も与えてしまいます。被災地においては一刻も早い救助作業、復旧作業に取り掛かる必要がありますが、建物が被害を受け倒壊の危険性がある場合には、そうした作業において所有されている方はもちろん、近隣の方、道路、そして救助や復旧作業にあたっている方に「二次被害」を与える場合があります。こうしたことを防ぐためにあるのが「被災建築物応急危険度判定」(以下、応判)というものがつくられました。設計士等の有資格者で、被災建築物応急危険度判定の研修を受けた者が、被災地に派遣され、一軒一軒調査し、損傷の程度を判定していくのですが、そのランクは3つに分かれています。

「応判」は、数多くの建物に対して、その一つ一つ被害調査をし、被害のレベルを判定していくわけですので、できるだけ迅速に判定していく必要があります。従って、見た目での判断や、簡単な計測で短時間に判断していくことになります。その結果、それほど損傷がないように見える建築物でも、「要注意」であったり「危険」と判断されることもあります。あくまでも素早く判断し、少しでも危険性をはらんでいると判断できるものについては、注意喚起をしていくことが、この「応判」の目的であるためです。

調査の方法

以下が調査表の例です。これは木造の例ですが、一般的な住宅などはこの調査表を元に調べていくことになります。前にも述べましたとおり、迅速に危険度を示す必要がありますので、調査プロセスを3つに分けています。

1.一見して危険と判定される。
2.隣接建築物・周辺地盤等及び構造躯体に関する危険度
3.落下危険物・転倒危険物に関する危険度

この3つのプロセスにわかれます。まず、1番目で建物が崩れ落ちていたり、基礎が壊れていたり、あるいは建物が傾いていた場合には、この段階で「危険」と判断されます。

1番目に該当がない場合、2番目に移りますが、例えばなんとなく傾いているとかの場合、簡易的な計測器(下げ振り)をつかってその傾斜の度合いを測ったり、沈下などがないかを調べます。このとき、Bランクに該当するものが1つでもあれば判定は「要注意」となりますし、Cランクに該当するものが1つでもあれば判定は「危険」となります。

2番目もクリアし該当がなければ、3番目に移りますが、例えば外壁にひびが入ってたりすると、Bランクの判定となりますし、窓が外れかかっていたりするとCランクとなります。ここで外壁のひびが地震前から入っていたとしても扱いはかわりません。該当する状況が一つでもあれば、要注意あるいは危険という判定をせざるを得ません。

「要注意」や「危険」の判定を受けた建物はどうなるの?

繰り返しますが、「応判」は被害を受けた建物がさらなる二次被害を発生させることを防ぐための「注意喚起」です。ですから、所有権や使用権に対してなんらかの規制を設けることを目的としているわけではありません。あくまでも地域の住民の方の安全確保と、救助や復旧における二次被害防止の側面からの安全面での「仕分け」的なものです。従って、地震がおさまり、周辺復旧などが一段落したのち、それらの建物を使用することできないわけではありません。しかし、一般的な側面から鑑みれば、「危険」と判断された建物は使用に耐えうることはまずないと思われますし、「要注意」判定を受けた建物についても、その程度をきっちりと専門家に依頼して調査する必要はあります。また、幸い影響がないと判断された建物も、調査の段階ではあくまでも簡易的な調査ですので、危険性が皆無であるというわけではありません。

結果として、黄色の「要注意」も再調査の結果、倒壊の危険性が高いとされる場合もありますし、緑色の「調査済」でも、危険性があとからわかることも少なくありません。「応判」の結果は、建物の危険度を簡易的に判断しているにすぎませんし、その結果を保障するものでもないということをご理解ください。

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