2025年建築基準法大改正(その3)

その2に続きます。

前回は、具体的な審査省略項目を挙げ、住宅レベルでは「構造的な部分」については、ほとんど審査省略されていたことを述べました。ちゃんと設計されていれば、審査の有無に影響されることなく、きっちりと設計者が安全性を担保した設計をしているのですが、審査されないことを逆手にとって設計そのものを行わないという悪習があるということを知っていただきたいと思います。それらは、構造関係の設計図書がちゃんとご自宅などにあるのか?ということで確認できますので、一度、見て頂ければと思います。さて、今回は、その3ということで、審査項目が省略されなくなった場合、どのような影響があるのか?というのを、ちょっと違う視点でご紹介したいと思います。

それは、「完了検査」という、これも建築基準法上の重要な手続きとなるものです。

「完了検査」とは、確認申請において審査された内容が確実に現場でその通り施工されているのか?という部分での確認になります。従って、「完了検査」では「確認された内容の検査」ということになりますので、これまで審査省略されていた部分については「完了検査」の検査項目としては「該当しない」ということになります。つまり、一般的な住宅レベルでは、「完了検査」にて構造的な法的な規制に適合しているかどうかの検査はなされていない、ということになります(ちなみに、瑕疵保険の現場検査があるからそうでもないという方もいますが、これについては別で話題にします)。

そして、もっとも懸念されることは、住宅レベルでの設計や施工しか行ったことがない設計士や現場監理者は、審査省略がなくなることで発生する、完了検査時点で確認される「検査資料」を扱うことができない可能性があるということです。

例えば、「その2」でもご紹介しました審査省略項目の中に、

「建築物の基礎、主要構造部及び安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分(令第144条の3に規定する部分)に使用する指定建築材料の種別」

というものがありますが、ここで指定されている材料には、木造住宅においても、「鉄筋コンクリート造の基礎」がございますので、当然、完了検査でその品質等の監理記録を検査資料として求められることになります。以下の画像は、現場に納められた「生コンクリート」を試験にかける準備をしているところです。

そして、その後、コンクリートの硬化が規定の日数に達したところで試験機にかけて、その強度を測定したり、塩化物の含有量の試験結果などを調べます。

これらは、JIS規格で工場生産された生コンクリートが、「指定建築材料」となっているためにその品質としての強度をちゃんと調べておくということなのですが、当然、どの程度の強度のコンクリートを使い、どのような基礎をつくるのか?ということを設計では図面に記載しますので、それらにすべて合致しているか?ということを「完了検査」にて資料確認するということになります。この例は、基礎における極々一部の例でしかありませんが、このほかにも木材、鉄筋、屋根材、外壁材、内装材など材料だけでも相当な監理結果を検査時点で資料として用意する必要があります。

そして、さらに重要なことは、これらの監理状況については、資料も含め、建築主であるお客様に対して駿工事の資料としてお渡しする必要があるということです。ちなみに、弊社では、写真点数だけでも一般的な木造住宅においても1000枚以上になることがございます。例えば、柱が60本使われれば、その柱の頭の部分、脚の部分に取り付く金物や取り付く状態を記録するには、ざっくり120枚の写真が必要になるわけです。これだけ聞くと、すごく監理がたいへんだという印象があるかもしれませんが、デジタル化された現在では、写真枚数が何枚増えようとも、画像ファイルとして増えるだけで大した問題ではありません。

「誠意を込めて工事をする」というのは、心情的な部分の問題でしかなく、本来、誠意を込めるというのは、きっちりと記録をとり、何らかの問題が発生したとしても、過去の記録より原因を突き止めることができるだけのバックボーンを持つということだと考えています。

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