高齢者介護を意識した特殊なトイレ改修

お客様よりご両親が高齢になり、まだ介護度は低いものの排泄後のことでお困りごとがあるということで、トイレ改修工事のご相談を受けました。

トイレスペースとしては、幅広なんで、小便器と洋式便器が置かれるくらいのスペースがあるわけですが、敷居があって、洋便器前のスペースは結構狭いので立上りなどの動作で少々不便です。また、最大に問題なのは、加齢により足元がおぼつかなかったり、排泄後の陰部のふき取りなどがあまりうまくできなくなってきており、結果として便が床にこぼれる状態になっています。当然、清掃はしますが、床タイル面に水を撒くなどの清掃はそれほど頻繁にできないということで、かなりトイレ内に匂いが立ち込める状況でもあり、清潔感もなくなっています。これらのことを危惧され、なにか良い方法がないものか?とのご相談でした。

介護的な条件としては、

  • 洗える。床だけはなく、壁、または設備品も。
  • 排泄での問題で体の汚れがある場合、それを洗うことができる。
  • 段差解消
  • 介助スペース

これらをきっちり要望として叶えるための介護改修です。単にトイレスペースを広くするとか、段差を解消するなどの一般的に「バリアフリー」とか「高齢者対応」というレベルでの改修計画では叶えることができません。そこで、専門的な高齢者施設や介護施設で使われている「トイレ・シャワーユニット」を採用することにしました。以下の画像がそれです。

ユニットは、トイレ部分とシャワー部分の両方を備えています。また、ユニット全体は、一般的な「システムバス」と同じ材質と仕組みで作られています。つまり、一般的な浴室と同じような感覚で使用し、清掃もできるわけです。また、トイレにシャワーが併設されていますので、排泄で体が汚れた場合にもすぐ横で洗うこともできます。また、シャワーを使って便座などの清掃もできます(トイレットペーパーを一旦外す必要はあります)。

ただ、幅方向は1間もあれば設置できそうな幅ですが、奥行き方向には少々大きくなりますので、設置できるかどうかは間取りによります。

今回のトイレは幅方向には問題はないのですが、奥行き方向で少し外に追い出すことが必要でした。ところが、今回のトイレは外壁部分に窓が2つはいっており、耐力壁という状況ではないこともあって、この外壁部分を抜き、外に追い出すことで対応が可能でした(田舎で仏壇が大きい時に、仏壇の奥行き分、外に出すやり方と同じです)。できるだけコストを落とすために追い出す寸法は屋根の軒先が限界となります。

高齢者対応と一口で言いますが、介護度が非常に高かいのであれば別として、まだ低い段階で、排泄などで体やトイレを汚してしまうことは、高齢者の精神的な部分で「ダメになった」という負のイメージを植え付けてしまい、結果として日々の生活で塞ぎこみがちになったりと、別の意味でどんどん悪い方向にいくケースが多いです。まだ、ある程度元気なうちに、できる対応を行い、かつ、介護する側の負担も少なくできるように、初期段階での介護改修は重要だと考えています。

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