雪の重さをご存じですか?

NHK山形放送局、「やまがたWEB特集」にて、「時間で変化“雪の重さ”注意!」というものが出されていました。放送でもオンエアーされていたので、ご当地の方で目にされた方も多いのではないか?と思います。

NHK山形放送局 やまがたWEB特集より、
https://www.nhk.or.jp/yamagata/lreport/article/000/74/

この特集で重要なのは、

 ・時間経過とともに重量が変化する(重くなる)
 ・その重さが数倍どころではない

この2点です。山形も福井も多雪地域であることに違いはないですが、全国的に多雪地域においてその重量が同じか?というと全く違います。例えば、ふわふわのパウダースノー(粉雪)といわれるような雪質は、水分がかなり少なく、重量も非常に軽いです。経験上、パウダースノーになることが福井においてもなくはないですが、それはかなり気温が下がっているときの降雪だと感じています。雪の重量は、その地域の降雪時の気温、湿度(どちらかというと絶対湿度、水分量)に左右されることになります。

この放送では、8リットルの容器に雪をつめ計測したところ、「降ったばかりの雪は18kg/立米」、「3か月冷凍庫で保管した雪は474kg/立米」ということでした。建築物に対する積雪の影響については、以前のブログテーマでも取り上げましたが、実際の重量を測ってみれば、その影響の大きさは想像できるでしょう。

そこで、設計において「建築基準法」においては雪の重量の規定を、建築基準法施行令第86条において、

「積雪量1cmごとに1m2につき20N以上としなければならない。」

と定められています。この「以上」という文言は、地域性を考慮したもので、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体、およびその長のこと)において別途定めることが許されています。ちなみに、福井県及び福井市においては、「積雪量1cmごとに1m2につき30N以上」と定めています。仮に30Nとすると、1㎥あたりは、

30N×100cm=3000N/立米=約306kg/立米

となります。やまがたWEB特集で紹介され、実際の計測よりは低いことになります。また、同時に、積雪を考慮する場合には、「垂直積雪量」というものを地域ごとに定めています。

福井県 建築住宅課 建築基準法施行令第86条に基づく垂直積雪量
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenchikujyuutakuka/suityokusekiseturyou.html

福井市 建築指導課 垂直積雪量一覧表
https://www.city.fukui.lg.jp/kurasi/jutaku/kentikubutu/sekisetu.html

弊社が所在している「福井市花堂北」においては、垂直積雪量は「2m」とされています。ただし、住宅の場合には、「雪下ろし低減」として1mの低減を認められています。非住宅には適用されません。従って、住宅の場合でも屋根に積もる雪の重量は、おおよそ306kgを設計に入れる必要があるわけです(法律に準拠するというのであれば、確認申請などの手続きで審査されようがされまいが、必ず考慮する必要があります)。

法律的なことはさておき、昔の住宅では必ず雪下ろしを考えて外観や屋根の形状などを決めていたのですが、イマドキの住宅では、せいぜい屋根の雪の落下について隣地へ落ちるなどのことを考慮する以外、屋根の雪下ろしがしやすいような計画をするケースが少なくなっているような印象があります。

屋根の雪下ろしをしないのですから、「屋根には雪がのったまま」になるはずです。その状態で、積雪による建物の変形が発生しないことはもちろん、地震などの横揺れがかかったとしても倒壊しないことが必要なのですが、一般的な住宅において「構造計算」を行わないかぎり、その検証はなされることはありません。

皆さんのご自宅の家は、何メートルで雪下ろしが必要になるか知ってますか?

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