大雪になりますと除雪がたいへんなんですが、まずは、車や人の通りなんかを確保するのに、車路や通路の両側に積み上げることになります。本来は、この積み上がった雪を「排雪」という工程を経て後始末するんですが、近年、この排雪の場所、雪を捨てる場所というのがなくなってきてます。以前は公園や校庭など、公的機関が管理する場所を雪捨て場や置場としていたのですが、子供たちが雪山に登って遊んで危険だという理由や、校庭の表面が荒れるのでその再整備に費用がかかるとかで、よほどのことがない限り使わせなくなってます。近年では平成30年の大雪のときに、時間が経ってから雪捨て場になったのですが、すでにパニック状態になってからの開放でしたのでクレームのほうが大きかったのでは?と思いますw
さて、雪はいずれ融けてなくなるわけですが、それでも時間が相当かかります。時に、路肩や駐車場に高々と積まれた雪は、4月になっても残っていることがあります。昭和56年の56豪雪の際には、県庁のお堀に雪を捨てたのですが、その雪は、ゴールデンウイークになっても残っていましたw
雪が融けるためには、あるレベルの熱量が必要なのですが、たぶん雪国でない人なら、火炎放射器で焼けば融けるんじゃね?って思うかもですが、実は昭和38年の38豪雪の際に、自衛隊が出動しこの火炎放射器で雪を融かす試みをやってみた!という経緯がありますw 結果として「全く融けない」という状態だったわけです(なんでも炎が当たったところだけ孔が空いただけらしいですw)。
これには理由があるんです。雪が融けるには相当なエネルギーが必要なわけですが、その熱量は、雪1kgあたり333.6 kJ=80kcalなのです。基準法通りに考えても、1㎡あたり1cmで20N≒2kgなんで、1㎡に1cm積もった雪を融かすためには、667kJ=160kcal必要なわけですw これは、一般的な乾いた雪の場合の想定される重量ですので、福井のような湿った雪の場合には30N≒3kgですので、さらに多くの熱量が必要になります。なので、40cmも積まれたら相当な熱量が必要ですし、さらにこの積まれた雪はカチカチで重量レベルはさらに重くなるわけですw
この状態が変わるための、つまり融けるためのエネルギーを「潜熱」というのですが、これは塊になったときに威力が発揮されるので、雪の粒でみれば触れば消えるくらいなわけです。言い換えますと、かたまった雪を融かすのは非常にたいへんなのですが、バラバラになった雪は意外と簡単に溶けてくれるわけですw 早く雪を融かしたいなら雪をバラバラにするっていう作業が一番効果があるわけです。例えば、水による融雪は、雪が積もってかたまっていくことを防ぎ、バラバラの状態で水で融かすという仕組みです。なので、積もってから融雪の水を出しても時間がかかるだけなのと、水がもったいない感じになります。
そこで、我々の小さかったころは、豪雪を経験している、おじいちゃん、おばあちゃんからは、
「雪なぶらんと(さわらんと)、ちっくりさしときね!」
って言われていましたw 歩く道はあけても、10cm、20cmならそのままにしておけってことなんですが、そのときに「ちっくりさし」をしておけというわけですw この「ちっくりさし」とは福井弁で、「何かで突き刺す」ということを意味します。こんな感じですw

雪山にスコップで突き刺した跡がたくさんあります。こうすると表面の雪融けが急速に早まります。


スコップが刺さったところだけみると、雪の嵩は低くなります。言い換えれば、この部分の潜熱が下がるのと空気に触れる面が大きくなりますので、空気の熱を奪いやすくなるので融けやすいというわけです。
ちなみに、歩道をあるく小学生は、この時ばかりは雪に山を傘でつつくことが奨励されますwww 傘の先で雪山に絵をかいたり、帰り道にどんどん遊んでくれると歩道なんかの雪の融け方は早いってわけです。
玄関先の雪を道路にばらまく人もいまだに多いのですが、確かにバラバラになった雪は日中の天気が雨とかでも融けていくので雪の山を処理するというのには好都合なのですが、実際には非常に危険な行為です。雪を道路にまき散らしてすぐに融ければいいですが、夕方、日が落ちかけてからこれをやりますと、夜間の気温低下で「凍結」します。翌朝にはツルツルで非常に危険なわけです。そもそも、道路に雪をまき散らすのは法的に違反です。緊急避難的な事情がない限り、自分の都合だけで雪をまき散らすのはやめてください。
というわけで、早く雪を融かしたかったら「ちっくりさし運動」です!

