以前のブログでも取り上げました住宅の改造ですが、本日、床を受けるための「金物施工」を行ってきました。
作業にあたり、吹抜け空間にはローリングタワーによる足場を設置し作業の効率をアップさせました。


床には養生のために「構造用合板」を敷き込むことで、ローリングタワーのタイヤのめり込みにも備えました。ローリングタワーは足場にタイヤをつけたもので自由に移動ができるので、特に室内の高所作業には向いています。今回、これを2基用意して、ローリングタワーをブリッジのように配置して上部に滑車をつけて梁を吊り上げようという目論見もありますw まぁ、こうした工夫を現場、現場で考えていくことで合理的な施工が可能になるわけです。
さて、以前のブログでもご紹介したとおり、こんな感じの床を吹抜けにつくります。

一番端にある梁は既存の梁になんですが、中通りの3本の大きな梁を既存の柱や梁に取り付けることが必要なわけです。そのために、今回はちょっと特殊な金物を使うことにしました。
BXカネシンさんが出している「後施工金物」というものです。
梁を受けるためのプレートを既存の梁や柱に取付、新設する梁をドリフトピンで留めるという金物です。現物はこんな感じです。



この金物の取付説明図としては、こんな感じで示されていますw


なんとなく簡単施工な感じですw ですが現場、それも相当な時間経過がある現場ではこのような理想的な状況になっているわけではありません。前回のブログでテーマにしました「生けどり」とは現場の構造材の状況をそのまま写し取ることを意味しますが、既存柱や梁は、反りや傾きがあり、マニュアルに書かれているような「垂直」な状況ではありませんw

そうなりますと、金物を取付るための穴加工をどれだけ正確に行ったとしても、画像の赤線部分の傾きで「金物が傾く」わけですw 新設する梁を真っ直ぐ、垂直に切り、ドリフトピンが通る穴の位置を、マニュアル通りに穿孔しますと、ほぼ100%の確率で「ドリフトピンが打てない」わけですwww となりますと、この傾斜に合わせた「ドリフトピン位置」も生けどる必要が出てくるわけです。


生けどりするのは梁の小口の傾きと、取り付けた金物のドリフトピンの穴の位置です。梁の長さは天端で測っていますので、この型板の右上部分を天端の基点に合わせて、その反対側の小口の型板を計測した長さで裁断すれば、きっちりとした長さで加工ができるわけですが、例えば、長さが3096mmだからといって3096mmで長さを切りますと、現場で梁を納めるときに「入らない」のですw
これよく施工を知らない設計者を皮肉るときに言うんですが、空間認識に乏しい設計者は、1000mmの空隙に1000mmのものを設計しちゃいますw 1000mmの空隙に1000mmのものは「入らない」っていうのを意外と知らないのです。1000mmの空隙に最大のものもを入れるためには、1000mmに満たないもの、例えば999mmとかでなければ納まりませんwww これを「クリアランス」といいます。
このクリアランスをどの程度見込むか?っていうのが重要になるわけですが、家具の納めなどであれば、比較的大きなクリアランスでも問題ないかもしれません。ですが、構造を支える梁のクリアランスを大きくとるわけでにはいきません。接合による応力伝達は原則として「接している」ことが必要だからです。
このクリアランスをどこまでシビアに取るか?は厳密な現場計測によって検討するしかありません。そもそも計測器にも「誤差」はあります。その計測誤差も飲み込んだクリアランスが必要になるわけです。
ドリフトピンの穴は遊びを持たせることはNGです。ドリフトピンのピン径と穿孔する穴は、ほぼ「ゼロゼロ」の差でなければなりません。ここからが実に大工さんの腕の見せ所になるわけです。

取付を終えた姿をお客さんもご覧になって、「なるほど!ようやく何をするのかがわかった!」とおっしゃっていただきましたw



