和室の仕込まれるとある仕掛け

田舎にいくと、こんな感じの和室があるおうちがいっぱいありますが、よく問題になるのが、この4枚の襖戸が開かなくなる(動かなくなる)という現象です。

屋根に積もった雪の重みで2階部分が下がってきたり、雪がなくても2階の荷物の重さなどで、2階の梁部分がたわんでしまった結果、襖の鴨居の部分がたわんでしまい、その結果、襖の開閉ができなくなるというものです。このような間口の大きな和室の襖の鴨居には、中央部に「吊り束」といわれる部材があって、見た目、この吊り束によって鴨居が吊られている感じになります。

そこで、鴨居が下がって襖が開かなくなってしまった場合、その対応のためにこの「吊り束」を吊りなおすことで直すということをやっておりました。昔の家は2階がある場合も畳の部屋だったりして、畳を上げて荒板をめくると、この「吊り束」が取り付いているところが見えるので、吊り束が梁と接している部分に鋸刃を入れて持ち上げるなどの作業で、たわんだ梁の影響を受けた鴨居を直すということがなされていました(2階がなければ天井裏に押入などから上がれるので作業できます)。

ところが、最近の家は、2階は洋室などになっていて、畳をあげるような対応ができないので、この手の襖が開かなくなる問題への対応は「戸首」をカンナ掛けしたり、敷居の溝を深くしたり、そんな調整しかできなくなったのですが、実は、これを回避するための「金物」が仕込まれていたりします。「かもい上げ金物」っていう名称なんですが、現場では「吊金物」とか言ってます。この金物はいろんなところでつくられてますが、有名どころとして、山喜産業株式会社さんの「ダンドリビス かもい上げ金具」っていうものがあります。

この金物を「吊り束」のところに仕込んでおいて、問題が発生したら鴨居をジャッキなどでグッともちあげると、金具の爪になって引っかかる部分位置が動いて高くなっていくというものです。

でも、このような問題が発生るというのは、画像でかかれているように原因はほぼ2階梁のたわみ(現場では「だっている」とよくいいます)が問題であり、なぜたわむのか?という部分ではその梁にかかる荷重が大きいため、梁が変形するわけですから、正直なところ原因の根本はココにあるわけです。

ただし、2階を納戸や収納的に使ってしまって(不要物は2階にあげるという発想)、思った以上の荷物が常時おかれている環境にしていたりすることも原因ですので、構造体である梁に問題があると言い切れない部分もあります。

いずれにせよ、大工さんたちは、「こうなるやろな?」ということを見越して対応策を講じていたわけで、それが現代では「金物」という形になっているという感じです。ちなみに、このような吊り束に仕込む金物は多種多様で、ゆうに30年以上前からありました。

タイトルとURLをコピーしました