耐力壁ブレース「コボット」

耐震改修を合理的、効率的に行うためには、「省施工」で壁耐力を増加させることを考えるのが重要になります。以前のブログでもテーマにしましたが、「低コスト工法」というものが耐震改修の計画で用いられることが多いのですが、繰り返しますが「低コスト工法」はなにか特殊な認定工法を取ることを示しているものではありません。

現場の状況を鑑みて、様々な耐力壁のパターンを使うことで、最も現場状況に即し、かつ、大きな解体工事が伴わないような補強を行うことで、全体コストを下げようというものです。耐震改修計画を立案する中で工夫した耐力壁強化方法を検討することが「低コスト工法」の根幹にもなります。

さて、耐震改修工事では、主として筋交いの補強、面材による補強、そして金物による補強、そのほか基礎の新設、屋根の軽量化なども「手法」として用いられますが、施工コストを落とすためには、

「できるだけ破壊と復旧を必要としない施工内容」

を採用することが重要です。部分的な解体で済ませるという考え方もありますが、解体した部分の仕上げ復旧と、解体していない部分との仕上げとの「見た目の差」が甚だしくなりますと、どうしても受け入れがたいものになります。それを防ぐために、仕上げだけでも一面全体にやり直すという判断もありますが、どうしてもコストがかかってきます。

このコストが大きく関係があるのが「天井改修」です。耐力壁を強化する場合に、金物の取付や筋交い設置、柱の追加などのために天井解体が必要になりますと、どうしても施工費はアップしていきます。そこで天井を壊さなくても高耐力が実現できるとして期待しているのが、

「コボットシステム」

というものです。

「コボット」とは、この三角形の金物のことで、この金物を梁(土台)と柱の角目に取り付け、ブレースという鉄棒で引っ張っておくことで、非常に高い耐力を実現します。

「THE COBOT BOOK コボットから始める木造建築設計」より

カタログ記載の強度データは以下の通りです。

「THE COBOT BOOK コボットから始める木造建築設計」より

土壁に対しても壁を落とさずに金物取付ができるだけのスペースがあれば取付けることができます。コボットだけでも高い耐力ですが、土壁の耐力分も加味できますので、かなり高い耐力が望めることになります。この「コボットシステム」は低コスト工法のリストに入っています。

ですが、コボット自体の1組の価格は、木製の筋交いや構造用合板よりは非常に高いです。従って、壁や天井を大きく解体してもコボット1組を入れるよりも低コストで作業ができると考えられる場合には、無理にコボットを使う必要はありません。

実は、このさじ加減が「耐震改修設計」なわけです。特に、ある部屋の仕上げが新しくなることを望まれる(普通に一般リフォーム的な発想で模様替えもしたい)場合には、壁、天井を解体した方が良いかもしれません。

耐震改修計画は、「やり方」と「コスト」の両面で検討しなければ、無駄にお金ばかりかかる工事になってしまいます。

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