木造建築物の構造体を「実際に揺すって」その耐震性を評価するというソフトが「wallstat」というものです。
この「wallstat」というソフトは、木造建築物の構造状況のデータを作成し、その建物に実際に発生した地震の波形(入力地震波)を与えることで、どのように揺れるのか?ということを視覚的に見せてくれるというものです。
以前のブログでもご紹介したのですが、この時テーマとしたのが、建築基準法に準拠している建物で新耐震基準のものであれば、能登地震で観測された地震波を与えると倒壊するかしないか?という部分で、基準法で積雪荷重を加味しない設計をしている場合、問題がないか?ということを検証してみました。

条件としては、福井市内で考慮すべき積雪荷重1mを屋根に掛けた状態で、能登地震での地震波をかけた場合のシミュレーションです。
結果としては「倒壊」します。言い換えますと、積雪荷重を加味しないで建築基準法通りの設計を行ったとしても、積雪が1m程度ある場合には「倒壊の危険性が大」というわけです。北陸の木造建築で積雪を考慮しないことが如何に危険か?というものを表すものです。
その検証を行う「wallstat」が、2025年12月にバージョンアップされ、ついに「6」まで来ました!
毎日新聞にまで取り上げられた話題ですが、このシミュレーションソフトが「無料」であるという驚愕の事実があります。構造要件などの諸情報をしっかりと入力できさえすれば、実際の建物が地震波によってどのように動き、そして、どのように破壊していくか?ということが「無料」でわかるわけです。
そして、バージョンアップにより「6」に到達したことで、昨年の法改正への対応はもちろんなんですが、私が最も注目しているのが、「wallstat grade」というものです。これは12種類の地震動に対して一括で計算し、それらの地震動に対しての評価をグラフ化するというものです。

これでわかるのは、どの程度の地震波が来た場合に、その建物が不利な動きをするのか?というものが一目でわかるものです。実は、お客様からよく相談を受けるのは「どんな地震だったら逃げたらいいの?」というものです。言い換えれば、過去の地震でどこまでだったら耐えるのか?というわけですが、それがわかることで、防災意識がより具体的に判断できるわけです。単に想定が震度6強とか震度7というわけではなく、実際に観測された地震波(神戸、能登輪島・鷹取・穴水など)での評価ですので、現実的な評価結果が得られます。
ただし、この「wallstat grade」の機能は実は誰でも使えるようにはなっていません。このwallstatの研修を受け、「wallstat マスター」に認定された人しか使えません。研修を修了し、資格を得た技術者は、以下のサイトで都道府県毎に検索ができます。
ちなみに、私もこの「wallstat マスター」の資格を有しております。


さて、この「wallstat」ですが、このソフトによるシミュレーションで倒れなければ倒れないと言い切れるほど、構造的な部分の評価の信ぴょう性は高く、実際に実物大実験結果と差異がほとんどないことが確認されています。個人的には、建築基準法で規定されている「量的な規定」をクリアすれば耐震性に問題がないとするような評価よりも、ずっとマシな評価になると考えていますので、ぶっちゃけ、「wallstat」で倒れなければOK!としてもいいんじゃないかな?って思ってます。
耐震性の評価もいよいよ異次元のモードに突入してきたのですw
【wallstatについて】
京都大学 生存圏研究所 生活圏構造機能分野
准教授 中川貴文先生(開発者)
URL https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/~nakagawa/
一般社団法人 耐震性能見える化協会
URL https://wallstat.jp/aboutus.html



