今日もすごく暑いです。気象庁のページには「過去の気象データ」を公開しているページがあるんですが、過去というのは前日までのデータなので近々の状況もわかるようになっています。
地域などを設定すると表示してくれるんですが、福井県福井市の気象データが現状ではこんな感じで公開されてます。


ここで注目は、最高気温じゃないんです。「全天日射量」というものです。全天日射量とは、
地表面が受ける太陽からの光のエネルギー量で、空全体(全天)から降り注ぐ太陽光のエネルギーを水平面で受けた量
のことです。要するに「熱エネルギー」の量です。単位は「MJ/㎡」です。メガですw 外気温が30度でも、車の中の温度は余裕で30度を超え、60度とかに達するのは、この「熱エネルギー」によるものです。
この太陽からの熱エネルギーは、あらゆる物質に蓄積されていきます。建物はもちろん、地面なども例外ではありません。車の中が暑くてとんでもないことになるように、地面もとんでもなく熱されます。地面も土のものがあれば、アスファルト舗装もありますし、コンクリートのものもありますので、熱された熱量を蓄える量も微妙に変わってきます。また、水分があれば、その水分が蒸発する際に気化熱を奪いますので、水分を含んだところはそうでないところと比べると若干温度が下がります。例えば芝生などの温度と、アスファルト舗装とは違うことがその例です。
これらの熱が人間にとってどんな作用をするかというと、地面や建物からの「輻射熱」として影響を受けることになります。輻射熱とは、
物体から電磁波(主に赤外線)として放出される熱
のことですが、太陽により熱された物体、例えば、地面や建物から放出される熱ということになります。炎天下の元、散歩なんかしていると、太陽にジリジリと熱されるのと、歩道などの道からの照り返しで暑いということを経験していると思いますが、その「照り返し」の部分が「輻射熱」と考えてもよいと思います。
さて、弊社では、ホームページで「関連実験」というページで「ベビーカーの遮熱テスト」というものを公開しています。


実は、今から15年前に実験したもので、SDN-SHEET🄬による遮熱性能を確かめる一つの実験として行ったのですが、日陰なのにベビーカーに載せている赤ちゃんが汗だくになって泣け叫んでいたり、脱水してぐったりしているという話しをお聞きして、
「なぜ日陰にいるのに、さらにベビーカーには日よけがあるのに、赤ちゃんの具合が悪いのか?」
という部分で輻射熱の影響を実験で計測したものです。ベビーカーの座面と、その裏、そして、地面に温度センサーを設置して、全く遮熱しない場合と、遮熱を赤ちゃんの背中に面する部分に行う場合と、ベビーカーの背面を遮熱する場合の3つのパターンで計測しました。計測時間で地面温度が変わりますので、3つの計測点の「温度差」を比較することにしました。結果はこの通りです。

40度を超す地表面温度に対して、背面を遮熱することで座面の温度はかなり低くなります。赤ちゃんにも体温がありますので、その体温で座面は熱されますが、SDN-SHEET🄬が全くない場合には、余裕で体温を超す温度に座面が到達しますので、シートで地表面からの輻射熱をカットするのは有効であるという結果です。そして、その効果がもっとも高いもは座面外側で行うことです。
この効果と同じことを弊社の建物での「遮断熱工法」では行っております。壁の外壁面、屋根面にSDN-SHEET🄬を張り付けることで、太陽からの熱(赤外線)を反射し、躯体そのものを熱さない工夫をしているというわけです。ただし、外気を室内にいれこめば、その外気温度になります。ですが、その空気がもつ熱エネルギーは太陽からの熱よりもかなり小さいものですので、エアコンなどで短時間に冷やすことができると、躯体からの輻射熱がほとんどありませんので、その熱が冷えた室内側に移動することがありませんので、エアコンの効率はほぼ純粋に空気温度にしか向かいません。
夏場の暑さ対策は、この「輻射熱」に対応することが重要であり、断熱材などの熱抵抗材では熱を反射しませんし、むしろ熱容量を増大させ「溜め込む」結果になりますので、室内でのエアコンは24時間かかせません。これが高性能断熱材による副作用なわけです。
北海道では省エネ性能を規定するレベルにするためには、この断熱材の量がハンパありません。北海道が40度超えの環境になる今、もはや輻射熱の影響は想像を絶するレベルになると思われます。