元旦に発生致しました「令和6年能登半島地震」にて、先ずは被害に合われた皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。新年を迎え、おめでたい雰囲気の中、突然の災害によって日常から非日常に引き込まれてしまったこと、言葉に表すこともできないでしょう。
日本は地震大国であるといわれますが、それでも今回のような被害が出てしまうのは、災害としてみた地震は突然に、そして何の前触れもなく襲い掛かってくる災害であるということでしょう。台風のように備える時間を与えられるわけではありません。今、このブログを書いているこの瞬間に地震がやってくることもありうるわけです。
そうなりますと、地震に対する備えというのは如何に平時のうちに備えることができるのか?ということが鍵になるかと思います。もちろん、備えをしたからといって100%、万全の対策であるか?と言えば言えないこともありますが、大難を小難に、小難を無難にするという意味合いでも地震に対する備えは行った方がよい、こと日本においては重要なことだと考えております。
特に建物の地震に対する備えというのは、仕事や生活の場であることが大半であることで、その建物が地震でなんらかのダメージを受けることによって、ケガをしたり尊い人命を損なう結果につながります。また、建物が崩れ落ちることで道路を封鎖してしまったり、近隣建物に影響を及ぼすこともあり、その結果、建物自体や建物を使っておられる方だけの問題ではなく、社会的な影響を与えてしまいます。
その対策は建物の「耐震化」というものです。一般的に昭和56年以前の建物の耐震性はそれ以降に建築された建物よりも低い性能であることがいわれています。これには様々に理由がありますが、主として「耐震基準」というものをが昭和56年を境に見直された経緯もあること、そしてその原因になったことも当時発生した「宮城県沖地震」であったからです。それまで考えられてきた「大地震」の規模をはるかに超える規模の地震が発生したことによるものです。
では昭和56年以降に建築された建物ではそんなことはないのでしょうか?実は、これにも疑問符が付きます。特に住宅など小規模な建物については、建築確認申請という手続き上、「構造関係規定に関する確認緩和」ということで、第三者がその内容を確認することがほとんどないということです(一部、自治体によってちがいますが)。これを「4号特例問題」と言われることが多いです。
設計者が構造的な安全性をしっかり見据えて設計することはごく当たり前のことです。ところが、住宅や小規模の建物において第三者による構造関係規定に関する確認緩和によって、設計自体がなされていない事例が非常に多いのが現状です。また、構造関係規定に関する設計が行われていたとしても、それは規定上の筋交いなどの「量的な規制」例えば柱や梁が雪や風、さらには地震による影響を受けた場合に問題がないか?という「構造計算」を行い安全性を確認するということが、ほとんどおこなわれていないというのが現状です。
雪もふらず、大して風の影響も受けない、そういった地域での建築であればよいですが、福井のように雪も降り、台風による風の影響も受ける、まして、過去に大地震が発生している地域である場合には、構造に関する安全性の検証は絶対であり、それが単なる量的な規制をクリアすることで満足できるわけがないのです。ちゃんと物理的な挙動を元に、構造計算によって安全性の確保ができているかどうか、この検証ができないうちは構造レベルで問題がないとは言い切れません。
地震による被害は予測ができません。予測ができないからこそ、できるだけの手立てを講じておく必要があるわけです。もちろん、新築だけではありません。ある程度年数が経っている建物についても耐震性の検証は必要ですし、対策も必要です。そして、その対策は「命を守ること」、そして「社会の影響を最小限に食い止めること」につながります。
弊社では、新築から増改築リフォームにおいて、「耐震性」を重視したご提案を心がけています。もし、今、地震に対しての不安がありましたら、どうかご遠慮なくお問い合わせください。