「非」住宅の木造化 その4

その3に続きます。

実は、「非」住宅の木造化による恩恵は、コスト面だけではありません。それは「省エネ」性能という部分での恩恵です。木造というのは、その材料である「木」が細胞の集合体であって、細胞の空洞部分が「多孔質」といって空気を溜めこむことができることがベースになっています。以下は、構造材料である、木材、コンクリート、鉄の熱伝導率を比較したグラフですが、熱伝導率は「熱の伝えやすさ」の指標で、小さい値ほど熱を伝えにくいということになります。

また、住宅に用いられることが多い木造は、その部屋の大半が「居住スペース」であることから、滞在時間も事務所、店舗、工場等と比較すると非常に長く、室温に対する環境整備が建物の要求品質として求められることが多く、結果として、断熱材をはじめとする「室内温熱環境」を快適にする技術が進んでいます。これらのことから、鉄骨造、鉄筋コンクリート造と比較した場合、低コストでかつ施工性が容易な手法をとることができたり、また、同時に、「気密性」を各段にアップすることも容易できるため、木造で「非」住宅を計画することで「住宅並の温熱環境」を作り上げることができるからです。

また、「胴縁」といわれる壁の下地になる材料をつかって、断熱材と壁面材の間に「空気層」をつくることもできるので、さらに断熱性能をアップさせることも特段特殊な工法ではなく、一般的な木造施工としてできることも低コスト、省施工を可能としています。

さらに、弊社では、屋根下地部分、外装下地部分に「SDN-SHEET®」を施工し、外部からの赤外線を99.8%反射し、夏場の熱対策も万全ですので、木造化による素材による性能にさらにプラスアルファで省エネ性をアップすることが可能です。

一般的な住宅においては、数人程度の人数が部屋利用することで、かなり限定的な運用ですが、店舗や工場などですと、大人数が施設を利用し、かつ、設置されている設備機器から発生する熱もありますので、住宅よりも高度な熱対策を要求されます。また、博物館、美術館ですと、厳格な温度、湿度管理も要求されますので、躯体自体が熱を通しやすい素材であると、温湿度をコントロールすることに余計な設備機器などの設置が必要になることや、電気等のランニングコストが大きくかかることになります。

この画像は、200㎡を越す、天井高さ6mの倉庫内部ですが、井戸水利用した「水冷システム」を活用することで、夏場でもエアコン等の空調機器の設置がなくとも、25~28度を安定的にキープすることができています。これらも、ベースになる構造が木造であることから実現しています。

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