雪とたわみ#3

#2に続きます♪

たわみという変形に対する法的な規制の部分をここまでご紹介してきました。ちょっとまとめますと、「建設省告示第1459号」には、たわみなどの変形に対する規定が期待されていますが、この規定を前提としているのは床や屋根を支える「梁」に対しての規制でしかありません。

#2でも説明しましたが、多かれ少なかれ、荷重をモノにかければ必ず変形が発生します。見た目問題なくても極々わずかではありますが変形しているわけです。この変形をゼロにするということは無理なわけで、それをどの程度まで許容するか?これが規制の制限値になります。また、荷重がかかり続ければクリープ変形というものが発生し、少しずつたわんできます。建築では経年変化で許容されるたわみ量を検討することになっており、告示第1459号では「1/250」の変形が限界としています。この限界を「梁」に対して検定するわけですが、「梁」以外の構造に対しての変形はどうなんでしょうか?

#1でお見せした画像をもう一度お見せしますが、屋根に雪が載った状態でのイメージです。

前回までの説明では赤のモワモワを雪と見立てて、その荷重が梁に作用した場合に変形が発生することを説明しましたが、厳密には以下の図のように、

屋根を構成する「部材」、この場合、「屋根垂木」といいますが、これも積雪荷重によって変形するわけです。ですが、この「屋根垂木」に対する変形を制限する規定は、建設省告示第1459号にはありません。では、この変形は「無視」してよいのでしょうか?

もちろん「無視」していいわけがありません。法的な規制はないものの梁と同じように変形量を計算し、その変形量が「許容できるかどうか」を判断することが設計上求められることになります。

ですが「規定値」が存在していない以上、その判断は設計者が判断するしかないわけですが、どの程度までなら許容できるのか?の「参考値」に関しては、

「日本建築学会 木質構造設計基準・同解説」

や、木造建築の構造計算に対する解説本としての基本となる、

「木造軸組工法住宅の許容応力度計算(通称、グレー本)」

などには、「たわみ制限」ということで、梁や桁以外の部材のたわみ制限の記載があり、図の「屋根垂木」の場合は、荷重状態の違いで採用する制限値が違うものの、概ね、1/150~1/200程度とされています。ただし、このたわみ制限も、クリープ変形を加味した計算「変形増大係数」を掛けた形での評価を求めています。

さて、ここで問題になるのが、法的な規制を受けていない部材の変形に対して、それを設計者が安全性の上で判断する場合の規制値をどのように考えるのか?ということが大きな問題になります。先に示した参考資料をそのまま鵜呑みにしてよいものか?それとも、建設地の特殊性などを考慮した場合に参考値より厳密な評価が求められるのか?ということで判断を迷うことになるかもしれません。

ちなみに、「屋根垂木」の場合、一般的に支点間の距離は910mm程度ですので、1/200のたわみ量といいますと、4.6mm程度になります。しかも、それが荷重状態で最悪の場合、例えば積雪1m程度で設計した場合に4mm程度の変形が、おおよそ2~3か月程度継続したとしても、大きな変形であるとは正直思えませんが、設計者としての責任というものは、こういう部分にかかってくることなのです。

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